リリー・フランキーの東京タワー - a talk

リリー・フランキーの東京タワー

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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
リリー・フランキー (著)

なんとも読まされているようなタイミングで、
東京タワー オカンとボクと、時々、オトンを読んだ。

リリー・フランキーって人はエロ話の天才な人。
トークがやたらに面白くて好きだったんだけど、
何やら良いとの評判だったのでこの本を買ってみた。

この間、祖母が亡くなったことで僕の中の死生観が
変化した時期でもあったし、感慨深く読むことが出来た。
この本を読み終えたのは少し前のことだけど、
思いを整理するつもりで感想を書いてみようと思った。

人が死ぬことについて、理屈じゃ語れない何か、
そこにある空虚感と無機質な何か、
誰もが一度は知るはずの感覚をこの作品は提供する。
そして、そんな感覚を少しは僕も知っている。

僕の祖母が死んでいる姿を見た時、
"死体は怖くない"ってことを初めて知ることが出来た。
死体を見ていると何か話してくれそうで、愛しくて...
時間がゆっくり、ゆっくりと進んでいる感覚がした。
おじいちゃんは仮通夜の晩、おばあちゃんと寝たいと
言って棺桶に並んで寝ようとしたが、皆に止められた。
そして、その晩におじいちゃんも心臓発作で入院した。
皆、口々に「おばあちゃんが寂しくて連れて行こうとしたんや」
と悲しそうな声で呟いていた。
あの夜、棺桶に並んで寝ていたら、本当に一緒に連れて
行かれていただろうと思う。

死体から抜け落ちた魂が僕らを見守っている気がした。
骨になって消えてしまう肉体を前に人間ってなんだろう?
って一晩中考えても答えなんて出やしない。
線香とロウソクを絶やさない、そんな一夜は思い出に更ける。

何もしてない、何も返せてない。
そんな思いと悔しさを皆が味わうんだね...


リリー・フランキーはそんな皆が味わう後悔を
文章として残してくれたと思う。
絶対に後悔するんだから、今ある関係性を大事にしろ。
そう投げかけている作品でもある。

この本の主題は"東京タワー"いつか登るはずの場所。
僕にとっての東京タワーは何かと言うと、
東京で"最初"か"最後"に行く場所と決めている。
上京した目的を果たした時に登ろうと思っていて、
未だ東京タワーには登ったことが無い。
また、東京に居ることを諦めた時には登ろうかと
思っているが、その時はきっと涙で東京の街は
滲んで見えないのだろう。

東京にやってきた人にとって東京タワーは敷居が高い。
東京タワーは見上げるものであって、簡単には登れない。
上空から東京を見下ろした所で、東京には勝てないからだ。
東京に勝つためにやってきた人々の大半が東京には勝てない。
だから、東京タワーにコンプレックスを抱いてしまう。
東京タワーはそんな場所だ。

僕は最近、引越しを考えているが、
東京を捨てることができない。
東京で何も成し遂げてないのに東京から
去るわけにはいかない。
だから場所は変わっても東京の側に居ることにした。

そんなこんなな出来事の最中にこの本を読んだので、
"読まされている"と感じた。勝手に感じてしまった。
だから、泣けなかった。むしろ怖くなった。
ずっと同じ時間は流れないから、喜びも悲しみも精一杯に
感じながら一生懸命に生きることを実践したい。
そう思える作品を読むことができて良かったと思う。

興味のある人は一度、読んでみては如何でしょうか。
きっと大切な人に電話でもしたくなるはずです。

2015年7月

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